2012年6月例会報告

マリアの福音書をめぐって

松崎 昇 氏
お話しされる松崎氏
ナグ・ハマディ写本
湯本夫人和子氏の翻訳本
ふしぎなキリスト教
例会スナップ マグダラのマリア マグダラのマリアによる福音書
 2012年6月13日(水)に松崎昇氏から「マリアの福音書をめぐって」と題するお話をお聴きした。新約聖書正典であるマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネのいわゆる4福音書のほかに、いくつかの福音書が発見されており、マリアの福音書もそのひとつである。松崎氏のお話は「マグダラのマリアとは」で始まり、そのマリアが正典4福音書でどのように記載されているかをイエスの旅の同行者、イエスの磔刑の場面、イエスの埋葬の場面、復活の場面からピックアップされ、共通点を抽出し実像に迫った。福音書の記述よれば、マグダラのマリアは常にイエスの身辺に仕える忠実な弟子であり「使徒たちへの使徒」と呼ばれていた。しかし、4世紀以降、カトリック社会では「罪深い女」と結び付けられたが、1969年第2バチカン公会議でその結びつきを止め、マグダラのマリアの評価は大きく揺れ動いた。1996年ドイツ人研究者がいくつかの“コプト語”の写本をカイロで入手しベルリンへ持ち帰ったがその中に「マリアの福音書」があり、初めて現代に知られる発端となった。マリアの福音書は5世紀に書かれたもので全部で18ページであったらしいが半分以上が失われ表紙と7ページ分が残っている。マリアの福音書が現代まで知られなかったのは4世紀以降のキリスト教の正典宗教化に伴う徹底した異端排斥によると考えられる。マリアの福音書に含まれる思想は「物質の本性」、「罪」、「人の子」、「肉体、魂、心」、「魂の永遠への上昇」などである。これは仏教にも通じるものである。
 例会出席者にはこの分野に造詣の深い人が多く活発な議論が行われた。また、本論とは少し離れたが、異なった歴史、文化、社会の著作物を的確に翻訳することの難しさについても言及があった。


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